Miriam Cahnミリアム・カーン 

"美しすぎることへの不安"

2019年7月27日 – 9月14日(夏期休廊: 8月13-17日)

展覧会情報

Miriam Cahnミリアム・カーン 

"美しすぎることへの不安"

会 期:

2019年7月27日 – 9月14日(夏期休廊: 8月13-17日)

 ワコウ・ワークス・オブ・アートではこの度、2019年7月27日(土)から9月14日(土)まで、ミリアム・カーンの4度目となる個展『angst vor zu schön 美しすぎることへの不安』を開催する運びとなりました。近年描かれた新作7点に、90年代に描かれた初期の作品を加えた、約20点の油彩画作品を展示致します。

 ミリアム・カーンは、スイスを代表する女性アーティストとして、欧州を中心に国際的な活躍をしてきました。70年代に興ったフェミニズムやパフォーマンス・アート、反核運動などの社会的な動向に影響を受けたカーンは、ドローイング作品の制作からアーティスト活動を開始します。その後、79年から80年の冬に、屋外の建物に直接描いたドローイング作品《my woman-ness is my public part 私の女性性は、パブリックな部分だ》で国際的に注目され、以来、活動の場を拡げていきました。カーンはこれまでに、大きな布を床に拡げて黒鉛で描いたドローイング作品や、色彩豊かな水彩作品の「atombombe 原子爆弾」のシリーズ、そして写真や彫刻といった、さまざまな表現方法で制作を続けています。

  2017年に参加した「ドクメンタ14」では、開催地のアテネとカッセルの両会場で複合的なルームインスタレーションを発表し、現代の「記録」ともいえる、不安定な世界情勢を妥協することなく正面から見つめた作品群が、高い評価を得ました。本年2019年には、ベルン美術館(スイス)とハウス・デア・クンスト(ドイツ)とワルシャワ近代美術館(ポーランド)の3館を回る巡回展を筆頭に、ブレゲンツ美術館(オーストリア)、ソフィア王妃芸術センター(スペイン)など、各美術館で大規模な個展が開催され、いま再び注目されているアーティストです。

 1994年から多く描くようになった油彩作品のなかでは、勢いのある筆致と独特のあざやかな色彩で、人、動植物、建築物というモチーフが繰り返し描かれます。80年代の大型のドローイングから、カーンの作品には一貫して身体性という特徴が備わり、近年は絵筆を使わず手で直接描く作品も制作しています。また、暴力や社会問題といった、色彩とはうらはらのテーマ性の強い作品にも取り組み、本展覧会では2013年にイタリアが発動した海洋難民救済作戦「マーレ・ノストルム」をタイトルにした作品や、近年多く描いている母と子を主題にした作品も展示いたします。ぜひこの機会にご高覧下さい。

 また、ミリアム・カーンは同時期に開催される「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」にも参加いたします。併せてご清覧いただけますと幸いです。(愛知県名古屋市内各所で開催 | 2019年8月1日(木)– 10月14日(月・祝))

※展示点数は事前に予告なく変更となる場合がございます。何卒ご理解のほどお願い申し上げます。


■新刊書籍情報
9月発売予定 | テキストシリーズ第7刊「ミリアム・カーン」 発行:ワコウ・ワークス・オブ・アート
海外評論やインタビューを日本語訳したテキストシリーズの7冊目、エディトリアルデザインは森大志郎。既刊にリュック・タイマンス、フィオナ・タンなど。

後援:在日スイス大使館

ミリアム・カーン Miriam Cahn
1949年、スイス生まれ。本年はヨーロッパの5ケ所の美術館で大規模個展を開催。近年は、2016年キール美術館(独)、2015年アールガウ美術館(スイス)、2014年スイス文化センター(仏)にて個展開催。国際芸術祭では、2018年第21回シドニー・ビエンナーレ(豪)、2017年ドクメンタ14(独)に参加。作品の収蔵先は、MMK Frankfurt(独)、Kunstmuseum Bonn (独)、Kunstmuseum Basel(スイス)、Tate Gallery (英)、MOMA (米)、国立国際美術館(大阪)など。