ジョーン・ジョナス
竹岡 雄二
リュック・ タイマンス
ヘンク・フィシュ
レオン・ゴラブ
ジョーン・ジョナス Joan Jonas
1936年NY生まれ、同地在住。60-70年代にリチャード・セラやロバート・スミッソンらと共に実験的な活動を行い、女性パフォーマー/ビデオ・アーティストの先駆者として知られる。表現方法は多岐に渡り、パフォーマンス中のドローイング制作、スタジオでの作業、パフォーマンスを記録した映像作品、写真作品など、幅広く制作している。作品は神話や伝承あるいは詩から着想され、独自の視覚言語を織り上げている。ドイツのカッセルで5年おきに開催される世界最大の美術展「ドクメンタ」に過去6回参加。近年の主な活動としては、2012年に現代美術センターCCA北九州で滞在制作をおこなった他、2013年「PERFORMA13」参加、2014年台北ビエンナーレ参加、2014年〜2015年ハンガー・ビコッカでの個展開催などがある。2015年5月から開催されるベニス・ビエンナーレでは、アメリカ館代表としての参加が決定している。
竹岡雄二 Takeoka Yuji
1946年京都生まれ、ドイツ・デュッセルドルフ在住。自らの作品を「(もの)を置くことによって作られる空間」として、その見え方を追求し、多様な素材をもちいた「台座」彫刻の制作を続けている。空間そのものを作品とみなすことで、展示そのものや鑑賞体験自体を視覚的に表現し、ミニマルな作品に多重的な見え方の構造を存在させている。1992年のドクメンタ9への参加によって国際的な注目を浴び、1997年にシュツットガルトやヴェストファーレンのクンストフェラインで開催した大規模な個展を開催した。近年のおもな展覧会には、2009年にハイルブロン市立美術館にて開催された台座をテーマにしたグループ展、 2011年のドイツのヨゼフ・アルバース美術館での個展などがある。今年の9月からレバークーゼン美術館で開催予定の、ドイツを代表する作家で構成される展覧会「RUHE VOR DEM STURM(嵐の前の静けさ)」への参加が決定している。2016年、大阪の国立国際美術館で国内初の回顧展を開催予定。
リュック・タイマンス Luc Tuymans
1958年ベルギー生まれ、アントワープ在住。歴史的事象や社会問題などの写真や映画を元に、時にはレンズの存在を感じさせる大胆な構図と抑制された色使いでモチーフをダイレクトに描き出し、リヒター以後の現代絵画において最重要人物の一人と称されている。1992年のドクメンタ9で大きな注目を集め、その後、ヨーロッパ、アメリカを中心に無数の展覧会で紹介されてきた。2009年から2010年にかけ、サンフランシスコ近代美術館やシカゴ現代美術館等で北米初となる回顧展が開催された。またキュレーションも数多くおこなっており、中でも北京とブリュッセルで企画、開催したベルギーと中国の作家による展覧会「The State of Things」は高い評価を受けた。2013年、ワコウ・ワークス・オブ・アートで新作展を開催した他、ヒューストンのメニル・コレクションでも個展を開催。現在、ベルギーのラ・ルヴィエールにあるCentre de la Gravure et de l’Image impriméeで回顧展が開催されている。
ヘンク・フィシュ Henk Visch
1950年オランダ、アイントホーヘン生まれ。同地在住。詩人のような独特の思索と哲学的なイメージの探求からフォルムを導き出し、思想の形態を擬人化した立体や、抽象的な造形の彫刻で知られ、ミュンヘン、ロッテルダム、アントワープなどヨーロッパ各地の公共空間に作品が設置されている。最初の作品は560cmの橋で、現在クレラー=ミューラー美術館(オッテルロ、オランダ)のコレクションに加えられている。ヴェニス・ビエンナーレ(1988)、ドクメンタ9(1992)をはじめ、数々の展覧会に出品。2000年代に入ってからは、西沢立衛建築による森山邸での展示(2006年)や、伊東豊雄設計によるシンガポールVivoCity(2006年)や北京(2009年)でのパブリックアートプロジェクトに参加するなど、アジアでも活躍の場を広げており、オランダを代表するアーティストとして世界的な評価が定着している。2012年、オランダのアメルスフォールト美術館で開催された回顧展は大好評を博した。2014年、北京の中央美術学院(CAFA)に招かれ、長期滞在して教鞭を執った。
レオン・ゴラブ Leon Gorub
1922年シカゴ生まれ、2004年8月逝去。社会問題をモチーフにした具象絵画を制作。1996年、妻である作家のナンシー・スペロと共にヒロシマ賞受賞。1940年代からシカゴ・イマジズムというアール・ブリュットや具象絵画を支持するグループの中心的な存在として活動。古代ギリシャやプリミティブ文化からインスピレーションを得て、巨大なキャンパスと濃厚なテクスチャーによって戦士の闘争シーンなどを描き、現代にも通じる人間の葛藤、権力に対する対立や争いを表現した。油彩作品では、絵の具を支持体に塗りこみ、溶液でそぎ落とすという作業を繰り返し表面を皮膚のように加工することで、薄付きの絵の具とは裏腹に強いイメージを打ち出している。晩年は、一般メディアに登場する強烈なスローガンや犬、髑髏などのシンボリックなモチーフを、画面上に記号的に配置するという錯視的な表現をとり、別れや喪失、死などをテーマにした作品を発表した。アメリカやヨーロッパのみならず、イスラエル、ベトナム、オーストラリ ア等、世界中の美術館に作品が収蔵されている。