Fiona Tanフィオナ・タン 

"Photo Works"

2014年5月30日(土) - 6月28日(土)

Room 1

展覧会情報

Fiona Tanフィオナ・タン 

"Photo Works"

会 期:

2014年5月30日(土) - 6月28日(土)

会 場:
Room 1
開廊日時:火–土 11:00-19:00
日月祝・休

2014年5月30日より、ワコウ・ワークス・オブ・アートにて、フィオナ・タンの個展を開催します。

今回の展示では「Photo Works」と題して、映像作家として知られるフィオナ・タンの、写真作品のみをセレクトした展示をおこないます。

展示の中心となるのは代表作のひとつ「Vox Populi(人々の声)」です。各地で家族アルバムの写真を集め、それぞれの国ごとに展示するこのシリーズは、これまでに、ノルウェー(2004年)、シドニー(2006年)、東京(2007年)、スイス(2010年)、ロンドン(2012年)で制作されてきました。今回はこの中から「Vox Populi, Tokyo」を展示します。さらに、イギリスのブライトンに19世紀に娯楽施設として建造された後、たびかさなる嵐と火災によってその姿を消すこととなった桟橋を作品化した「West Pier」、スウェーデンのゴットランド島で撮影された「Närsholmen」、瀬戸内海の犬島を訪れた際に制作された「Roof Tiles」とともに、7月19日から当画廊で開催予定の個展にて日本初公開となる最新の映像インスタレーション作品「Nellie」をテーマにした写真作品もご覧いただきます。

インドネシアで、中国系の父とオーストラリアの母の間に生まれたタンは、少女時代をオーストラリアで過ごし、現在はオランダで生活する映像作家です。初期においては、多様な文化圏を往来した過去が作品に反映され、ポスト・コロニアル論の文脈においても解釈されてきましたが、近年の作品においては、イメージと人の記憶、時間とともに変化する記憶の不確かさと物語の関係性といった、人の心の営みそのものに関わるような、より普遍性、抽象性が高いテーマが積極的に扱われるようになってきています。

タンはまた、既存の映像や写真をもちいて作品を制作することでも知られています。彼女の映像作品の手法のひとつに、2010年に当画廊で展示した「取り替え子」のような、写真を一枚ずつ投射してスライド式に見せていくというものがあります。今回の展示の中心となる「Vox Populi, Tokyo」は、この次々とファウンド・フォトを見せていくという映像作品の手法をいわば水平方向に展開したものであり、写真作品のインスタレーションでありながら映像的アプローチがもちいられているということができます。家族という大まかなテーマのもとに集められた305枚の写真が壁全体に広がり、それらさまざまにディテールを変えながら繰り返される写真の数々を見続けるうち、鑑賞者は個々の写真から抽出されたひとつの普遍的な人間のイメージを心に抱くことになります。

映像作家が制作する写真作品はその作家のエッセンスを垣間見せるといわれますが、タンの写真作品においてもそれは例外ではありません。そのエッセンスとはいわば、映像作品を鑑賞し終えた後で鑑賞者の心にのこる、作品全体からとりだされた一葉のイメージに類するものだといえます。この機会にぜひご高覧下さい。


関連書籍:
『フィオナ・タン エッセイ』テキストシリーズ第4弾
『フィオナ・タン "エリプシス"』金沢21世紀美術館カタログ




<次回展>
フィオナ・タン「Nellie」 2014/7/19(土) - 9/27(土)
レンブラントの娘をテーマにした最新の映像インスタレーション作品を展示します。

<美術館の展覧会予定>
・「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
  森美術館 (グループ展) 2014/5/31(土) - 8/31(日)
・「フィオナ・タン まなざしの詩学」
  東京都写真美術館 2014/7/19 (土) - 9/23(火); 国立国際美術館 2014/12/20(土) - 2015/3/22(日)
・ IZU PHOTO MUSEUM 2015年( 展覧会タイトル未定)

» プレスリリース(PDF)

フィオナ・タン

1966年インドネシア生まれ、オランダ在住。映像作家。

中国系インドネシア人の父とスコットランド系オーストラリア人の母を持つ。88年からオランダに移り、92年までアムステルダムのアカデミー、96-97年に同地の国立美術学校に学ぶ。ヴェニス・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエンナーレ、 ICPトリエンナーレ、ドクメンタ11、ベルリン・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど、これまで数多くのアートショウに参加、精力的に制作活動を続けている。2009年には第53回ヴェニス・ビエンナーレにオランダ代表として出品、2010年よりヨーロッパとアメリカの美術館を巡回する個展「Rise and Fall」を開催。2010年ヴェニス建築ビエンナーレでは、犬島で妹島和世建築のハウスプロジェクトと共存する島と人々をとらえた映像作品を発表した。2013年には金沢21世紀美術館にて国内美術館初となる回顧展「フィオナ・タン | エリシプス」展が開催されていた。2014年から2015年にかけ、森美術館でのグループ展参加の他、東京都写真美術館(2014年7月)、国立国際美術館(2014年12 月)、IZU PHOTO MUSEUM(2015年)で個展を予定している。