平川 典俊"The Layers from Capital (欲望の一片)"
このたび9月15日(木)より、当画廊におきまして平川典俊展を開催いたします。2002年以来、3年ぶりの個展となる今回は、資本主義をテーマに制作した写真作品を中心に発表いたします。 平川はこれまで写真、インスタレーション、映像、演劇、パフォーマンスやサウンドなどさまざまなメディアを複合して社会のシステムや制度と個人との新しい関係やあり方を提案してきました。ひとつの解釈は決して世界共通ではないという独自の考えから、ひとつの国にスタジオを定めず、ニューヨークを拠点に日本と欧米を往来しながら制作活動をおこなっています。 「The Layers from Capital」(欲望の一片)と題した今回のシリーズでは、過去80年以上世界の資本主義の中心となってきたウォール街を、知的で華やかなその存在に反し、必ずしも美しいとはいえない日常的風景を取り入れ、さまざまな欲望が渦巻く資本主義の本質を捕らえることを試みた作品となっています。 「資本主義というフィクションは、内実はその表層に見える制度的な正当性を通じて作られた植民地主義であり、美術の世界と同様に表層に見える美学的風景の裏側に立ち入ることによって始めてその存在の本質を知ることができるのである。」と平川は言う。 平川 典俊 Noritoshi Hirakawa 1960年福岡県生れ。1993年よりニューヨーク在住。大学で応用社会学を学び、フィールドワークとして20か国以上をまわる。1988年以降、世界各地の美術関係者と会い、直接自分の考え方を説明し、作品の発表の場を探しながら文化的差異がもたらす認識やそれぞれの文化での社会と各自己の関わり方をテーマにアーティスト活動を開始。これまで数々の写真作品を美術館で発表している。(ポンピドーセンター、フランクフルト近代美術館、チューリヒ・クンストハーレ、ニューヨークPS1美術館、セゾン美術館、横浜美術館他)
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